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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第四十五章 夢をツナグ

written by Akio Hosokai

skitch.png誰もが「金」だと信じていた。悪くても「銀」。アプローチの形状が違うのでタイミングが合わないのか、風が災いしたのか、予想外に飛距離は伸びない。試合後に彼女は泣いた。4位入賞とはいえ勝負に負けたのだから、その事実を真摯に受け止めている姿に、好感が持てた。盛り上り誘導で開催前からあおりまくっていた新聞やテレビは、必要以上に彼女を賛美してはいかんぜよ。スポーツの負けは、あくまでも負けだ。
そんな中で、ある新聞の見出しが目に留まった。「沙羅、夢をつなぐ」そうか、彼女は次もまだ21歳か。マスコミは次回もこのスター選手で盛り上げるつもりか。そういう曲がった根性で見ていたのだが、最近の俺って、妙に心が弱くなってきたじゃん。何か、しみじみ思う。高梨沙羅ちゃん。君はSOCHIでもがんばったけど、平昌では、もっとがんばってね。それまで俺は夢をつないでおくから。ジャンプは冬のオリンピックで一番好きな競技だし、君ならきっと勝てると信じているから。感動をありがとう。

「夢をつなぐ」

それには、まず「夢」がなければいかん。我々のようなジジイの「夢」って何だろうね?
悠々自適の生活?孫の成長?社会との接点?船旅で世界一周?老いらくの恋?健康維持?月1回のゴルフ?お遍路さん?…「夢」と言えないのもあるが、まっ各人各様だろうな。

おやじバンドをやりたいと願っている連中は、そもそもバンドを結成すること自体が「夢」だろう。そして結成できた段階で「夢」は消滅する。一方The Rainは、もう45年近くも継続しているし、それなりのLIVEも毎年やっている。するてえとThe Rainには、もう「夢」はないのか。そうだな。そういうことになる。もうそんな夢見る夢子のようなキラキラ星はいらんってか…。偉くなったもんだ。
俺は…The Rainにも「夢」を持ち続けていたいとよ。それには「夢」の創作や進化が必要になるとでしょう。しかし目標がなければ、「夢」の創作や進化はできんとでしょう。

目標…だと思う。バンドだから、目標はメンバーで共有できるものでなければならない。その目標が周囲の共感を得られればベスト。そうなれば目標は「夢」と呼べるキラキラ星になる。「夢」を携えて演奏する我々も輝くだろうし、それを見ている人々にも感動と興奮を感じてもらえるだろう。きっと、そうだと思う。
21世紀になりたての頃、大手製菓会社から大学教授に転身した中学時代の友人がLIVEに来た。よほど感動したらしく、中学同期のHome Pageに過激な賛辞のコメントを寄せた。演奏する曲の出来不出来だけでなく、「夢」をつなぎ続けるThe Rainそのものが聴く人々の感動や興奮をブーストする、そういう【The Rain DREAM‐LIVE】をやってみたい。

Photograph: Katelyn Downs Photography/Getty Images/Flickr RF
https://www.flickr.com/photos/freakiinkate/3901492029/