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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第十三章 やっぱ!ライブはいい!

written by Akio Hosokai

DSCN2671.jpg天気予報では、のろのろとした台風13号の直撃を受けるはずだった。だが、朝おきたら、空は晴れていた。The Rain というバンド名にしては、上出来じゃねえか!

2008年9月20日。ライヴの日。天気回復だけでも感謝に値するのに、ミキサーが久々に親切な人で、不安だったベースアンプのトラブルもなく、安心してステージに上がれた。
お客さんにしても、時間厳守、開演前から来て下さった人が、いつになく多かった。
今回のライヴは、初めから何かが違っていた。1週間前の直前練習の反省会でも、恒例の景気づけ「仲間内ほめ殺し大会」がなかった。自信があったのか?それとも諦めたのか?

ゲストバンド終了後、The Rainの演奏が始まる。Aero Smith。ロック。いいスタートだ。2曲目。ドラムスの誘導で、第8章で紹介したHidekoがステージに上がる。Janis Joplinを唄う。いい度胸だ。Beatlesをはさんで、StonesのBrown Sugar。サックスの谷が登場。
着々とステージは進む。The Rain Band…今やお客さんのリクエストNo.1のオリジナル。泣ける曲だ。Wasted Time…Eaglesの名曲。ボーカルの塚田を、自分と同じアマチュアとは思えなくなる瞬間。奴はそれほどに、唄い込む。

やがて終盤戦。ノリノリで行こうぜ、俺達はロックバンドなんだから。お客さんの酔いのボルテージも上がってきたし…。Eric Clapton、Deep Purple、The Who、懐かしいだろ?お客さんが踊っている。いいぞ!いいぞ!後ろの方の席も、立ち上がって、なにか騒いでいる。よ~し、俺達もノッテキタゼ!よっしゃ~!
いよいよ、予定通りのアンコール。JourneyのSeparate Ways。うわ~、信じられねえ。ほとんどのお客さんが、ハンズアップで、リズムに合わせて手拍子だ。客席が、客席が、波打っている。ちくしょう、これだぜ、ライヴってのは。
アンコールのアンコールが叫ばれている。けど、もう、曲がねえ。ごめんなさいだけど、最初の曲、Aero SmithのRoad Runnerをやります。

ステージ終了。これほど多くのお客さんと握手したことは、今まで、なかった。松葉杖で急な階段を降りてきた男性には、本当に泣きそうになった。九州から飛行機で来てくれた女性とも握手した。嬉しくて、強く強く、彼女の小さな手を握った。

反省会はカラオケに行った。が、誰も歌わなかった。ゲストバンドのゲンちゃんが撮ったビデオに見入っていた。そのうち「これがロックだ!これがライヴだ!」誰かが叫んだ。多分に手前味噌だとは思うが、ステージと客席が一体となった「本物のライヴ」に少しは近づけた…という感触が、この心と身体に、今も残っている。だから、お客さんに、感謝!