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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第三十二章 少年Hならぬ少年Y

written by Akio Hosokai

bind_82.jpg車内広告を意味なく凝視したり、流れゆく車外の景色を振り子のように追ったり、問題のトライアングルに目が行かないようにしている。まったく気をつかう。しかしだ。なんで俺の方が気をつかう必要があるんだよ。渋谷のスタジオへ向かう山手線。運よくすわれた反対側の座席のアイラッシュのネエチャン。おい、短いスカート穿くなよ!いいかげん、その長い足、閉じろや!…そうか、パンツは白か。
いや別に、いいんだけどね。若いころの少年Hなら「ラッキー!」なんて喜んでいたが、さすがに63にもなると何だな、気をつかう分だけ疲れる。

それで何だっけ?そうだそうだ、少年Yの話だ。誰だか分かる?

平成25年7月のバンド練習後の飲み会。ロックジジイのウツケ話。その一部を…
「僕、生まれは東京青山なんだ」…ウソだろ、素っ頓狂青島(チンタオ)じゃねえのか?持ち前のルックスやイメージからこれほどかけ離れた出生の秘密があったとは、この世に神も仏もあったもんじゃねえ。
「幼稚園はミッション系だったんだ」…これこそ耳を疑ったね。言っちゃなんだけどね。今の体型から想像すると「クッション系」の間違いじゃねえのか?
「その幼稚園に外車で送迎される女の子がいた。その子が初恋かも知れない」…はいはい。聞いている方が疲れてきた。そうね、少年Yは見かけによらず、ロマンチストだもんね。
「それから千葉外房の勝浦に引っ越したんだ」…そうそう、やっと現実的になってきたな。
「実家のそばに理想郷ってのがあって、よく映画の撮影をやっていたんだ。エキストラとして映画に出たことだってあるんだよ。で、やっぱり可愛い女の子には、短いけどセリフがつくんだな、エキストラでも」…なるほど。もちろん、少年Yはセリフなしだろうな。
「中学生から東京の荻窪に引っ越しました」…うんうん、その辺からなら、俺も知ってる。
中学時代、少年Yの学習ノート盗難事件があった。犯人は見つかってノートも戻ってきた。半年前の中学同期の飲み会で、「犯人を先生にチクッタのは俺なんだ」と頭部無駄毛処理中のS君は、懺悔の気持ちをこめて告白した。それほど少年Yはまじめな勉強家だった。
「当時は、荻窪に映画館が2軒あって、ある時、入り口を間違えて入ってしまったんだ。そしたら、成人映画だった」…子供のころから無類の映画好きな少年Yは、もちろん最後までまじめに鑑賞したそうです、たった一人で。…では、この辺でお開きということで…

BANDに関連する話題を一つだけ。米国に「Lynyrd Skynyrd」というサザンロックバンドがある。日本にも「Lynyrd Skynano」というアマチュアバンドがあるという。バンド名がエグイのと、銀座アドリアあたりに出没するらしいので、12月のThe Rain Liveに出演をお願いするつもりでいる。「レーナード好きなの」だってよ。尾も白いじゃねえか。