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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第十七章  スタジオテイク

written by Akio Hosokai

crystal studios 8.jpg通常のセッティングでも、20分から25分位かかる。まじめに録音しようとなると、もう、見当がつかない。その日もそうだった。だれ一人言葉を発しない。黙々と配線やパワーの調子をアレンジしている。ただ、リードギターだけが、メサブギから耳をつんざく破裂音を出し続けていた。そのうちドラムスがやっと音を出した。ドドドドド…。また、ネジを絞め直している。音程やハリが気に入らないんだな。

今日で3回目だ。こんな調子で、できるのかなぁ?まだ、配線すら終わらない。ミキサーだけでなく録音機材があるので、スタジオ中、シールドやら何やらで、もう、何が何だか識別できないありさま。音あわせなんざ、いつになることやら…。

「音ください!え~、ドラムスから」…メサブギを除けば静寂の世界を、塚田の第一声が破った。メサブギはまだ快調に運転中。「音、出すな!」細貝がどなった!…「はい、OKです。んじゃ、次、ベース、お願いします」…ボワ~ン、あれ?音あわせ、やってねぇ。キーボード、音くれ!で、塚田!DIを使う場合と使わない場合と、両方チェックしてくれ!
一通りのチェックが終り、「まぁ、いいんじゃないかな…、やってみるしかないけどさ…」録音機材にどういう感触で音が入るのかを確認していた塚田がつぶやいた。

一曲一曲、演奏が終わると、イヤホンを耳に当てて、塚田が録音結果の評価をしている。そのたびに、細貝はスタジオの外に出て、タバコを吸った。いやいやいや、気を遣う作業だな。んにゃ、目の前をいい尻をしたケバイ女が横切った。細貝のHな目は、めずらしくその尻を追わなかった。

そうやって10曲ほど録音した。正直言って、けっこう疲れた。ここで、第15章でお伝えした部分につながって行くわけだな。ストーンズやドゥービーやジャーニーの曲なんざ、けっこう良い出来栄えだぜ。少なくとも俺はそう思う。んだが、残念ながら、著作権だか知的財産だか、俺には分らんけど、カバー曲は多額の金を払わないとむやみに発表しては駄目なんだってさ。しょうがねえなぁ。ということで、今回は、我々のオリジナルを2曲、このホームページにアップしました。

1.
The Rain Band と 2.Baby One More Chance
DiscographyのスピーカーのアイコンをクリックすればOK。ちょっとフラットな音なので、グライコで低音と高音をアップして聴いていただければロックっぽくなってGoodです。
ライヴと違って、お行儀の良い、したがってパワレスな演奏ですが、聴いて頂ければ誠に幸いです。お行儀の悪い「本物のロック」の方は、ライヴでご確認ください。んじゃ!